【過去問倶楽部】資格対策
~ビジネスキャリア検定~
企業法務(取引法務) 2級 (サンプル 2)

【問題 8】
以下に示す<事実関係>を踏まえた場合、合弁会社を設立するための合弁契約に関するA社の経営企画担当者の質問に対する法務担当者の回答として不適切なものは、次のうちどれか。

<事実関係>
1.光学機器メーカーA社と医療機器開発会社B社は、新たな内視鏡を開発、製造、販売する合弁会社を設立することを予定している。
2.合弁会社は、会社法上の株式会社で取締役会設置会社とし、出資比率はA社40%、B社60%とすることで概ね合意が取れている。


質問: 「B社と合弁契約を締結することで交渉が進んでいますが、これはいわゆる株主間協定と何か違うのでしょうか。」

回答ア: 「合弁契約は新たに設立する合弁会社に関する基本事項を取り決めるものですが、合弁会社設立後における会社の運営の基本事項を取り決めるところにおいては、株主間協定としての意味も有します。」

質問: 「取締役の選任に関して会社法においては、株主総会の決議により選任することとしていますが、そうすると取締役の選任に関して当社の意向を反映することはできないのでしょうか。」

回答イ: 「例えば、合弁会社の定款及び合弁契約において合弁会社の取締役を5名以内とする旨を規定し、さらに、合弁契約において、当社が3名の指名権を有する旨を規定することも可能です。」

質問: 「では、そのような合弁契約上の合意に反して、B社が株主総会において自己の指名する取締役のみを選任してしまった場合はどうなるのでしょうか。」

回答ウ:「会社法上、株主総会が適法に開催され、議決権も適法に行使された場合には、取締役選任決議の効力を否定することはできません。従って、当社としては、B社に対し、契約上の債務不履行責任を追及する以外に方法はないことになります。」

質問: 「ところで、当社はB社が相手であるからこそ合弁会社を設立しようとしています。合弁会社の設立後に、第三者が新たに株主となることを阻止する方法にはどのようなものがあるでしょうか。」

回答エ:「会社法上、株式会社は株主総会決議ないし取締役会決議で第三者に対し新株発行できることとされていますが、このような新株発行については、合弁契約において、事前に当社とB社との合意が必要であることを規定しておくと良いでしょう。ただし、合意に反してなされた新株発行の効力も、会社法上は否定されないことに注意が必要です。」

質問: 「では、B社が、その保有する株式の全部または一部を第三者に譲渡してしまうことを阻止するにはどのような方法があるでしょうか。」

回答オ: 会社法上の制度として、定款において株式に譲渡制限を設けるという方法があります。また、合弁契約において、株式を第三者に譲渡するには事前に当事者の合意が必要であると規定することもできます。ただし、いずれの場合も、譲渡制限に反してなされた株式譲渡の効力自体は、会社法上否定されないことに変わりはない点に注意が必要です。」

 

 

 

 

 




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