【過去問倶楽部】
~中小企業診断士~
 (平成22年 企業経営理論)


【問題 29】
 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 新興のデザイン家電メーカーX社は、パソコンの基幹部品の標準化・汎用化が高度に進み、消費者のパソコン使用経験が深まっている現状を潜在機会としてとらえ、革新的な製品によるパソコン市場への参入を計画している。ただし、パソコン市場を概観すると製品ライフサイクルの成熟化段階に達しているため、同社の新製品開発に先駆けたマーケティング計画の策定段階では、構想力に満ちた魅力的な製品コンセプト・アイデアの創出に加え、消費者の知覚の立場からの市場分析が重要な課題となる。そこで同社は、社内の関連部署のスタッフによって構成されるブランド・チームをつくり、製品(ブランド)ポジショニングに関する検討を行っている。

(設問3)
 X社はパソコン市場への参入に際して、自社の資源・能力の特異性であるデザイン創造力を考慮し、パソコンの「本体サイズ」と「マルチメディア対応度」をもとに消費者の知覚マップを作成した。他のメーカーの製品導入状況を分析しながら、自社製品のポジショニングの検討を行っている。この段階で用いられている資料は下図のとおりである。この図をもとにX社が計画している新製品開発とそのポジショニングについての記述として、最も不適切なものを下記の解答群から選べ
 なお、図中の小さな四角(■)は消費者の選好分布を、白抜きの大きな四角()は、他のメーカーによる既存製品のポジショニングを示している。X社が開発を検討している製品が想定するポジショニングは図中の大きな丸印(○)によって表示されている。図中の縦軸はマルチメディア対応度の高低を、横軸は本体サイズ(本体を設置した時の容積)の大小を指している。



 X社が開発を検討している製品はインテリア性が高く、家庭のリビングルームに設置し、テレビの地上デジタル放送の視聴や音楽ファイルの再生、電子マネーをつかったインターネット・ショッピングが可能なだけでなく、仕事や勉強にも快適に活用できるスペックを備えている。

 X社のポジショニング計画は、いわゆるブルー・オーシャン(Blue Ocean)戦略としてとらえられるが、その市場成果はここでのブランド化によって吸収可能な消費者の数に依存している。

 X社は、種々の汎用部品を用いてコンパクトでスタイリッシュなシェル(筐体)仕様にすることにしたが、その際の大幅な費用増を相殺するために、パソコン用液晶ディスプレイ・メーカーと長期契約を交わし、特定のモデルの液晶部品を割引価格で調達しようとしている。

 X社は競争相手による対応が行われていない未開拓のニーズに着目し、多機能がコンパクトにビルトインされた小型製品を開発し、象限Ⅱの標的市場での早期の製品普及後、象限Ⅰの大規模市場からの遷移顧客の獲得を企図している。

 マップ上の象限Ⅰに位置する企業は象限Ⅱにも参入することが可能である。したがって、X社には先発の利益を獲得・維持するための工夫が必要とされる。




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