キャッシュフロー
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【キャッシュフロー計算書の作成手順】
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◆営業活動によるキャッシュフロー
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<概要>
税引前当期純利益に
・非資金支出項目の調整
・損益項目の調整
・営業活動にかかる資産負債の増減調整
を計算して小計を求め、
さらに、
・当期に受け払いした受取利息、受取配当金、
支払利息、法人税等の計算
を行い、営業活動によるキャッシュフローを算出する。
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- 税引前当期純利益
損益計算書の数値をそのまま計上する
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- 非資金支出項目の調整
現金支出のともなわない費用を計上する
- 減価償却費
- 貸倒引当金
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- 損益項目の調整
発生主義を現金主義に替える調整。
損益計算書の営業利益と税引前当期純利益の間にある勘定科目のプラスマイナスを逆にして計上する
- 受取利息 : マイナスする
- 支払利息 : プラスする
- 特別利益 : マイナスする
- 特別損失 : プラスする
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営業活動にかかる資産負債の増減調整
営業活動にかかる資産および負債の増減を調整。
- 売上債権
- 棚卸資産
- 仕入債務
etc
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- 小計
1から4までを計上、調整した小計
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- 当期に受け払いした受取利息、受取配当金、支払利息、法人税等の計算
・受取利息、受取配当金
= 前期未収利息 (前期B/S)
+ 当期受取利息 (当期P/L)
- 当期未収利息 (当期B/S)
・支払利息
= 前期未払利息 (前期B/S)
+ 当期支払利息 (当期P/L)
- 当期未払利息 (当期B/S)
・法人税
= 前期未払法人税 (前期B/S)
+ 当期支払法人税 (当期P/L)
- 当期未払法人税 (当期B/S)
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- 営業活動によるキャッシュフロー合計
5と6を合計する
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〜直接法による作成手順〜
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<概要>
以下の4項目を計算し、営業活動によるキャッシュフローの小計までを算出する。
・営業収入
・仕入支出
・人件費支出
・その他営業支出
※間接法との違いは、営業活動によるキャッシュフローの小計までの計算手順が異なる。小計以降は、間接法と同じ計算である。
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- 営業収入
・当期営業収入
= 前期末売上債権 (前期B/S)
+ 当期売上高 (当期P/L)
- 当期末売上債権 (当期B/S)
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- 商品の仕入支出
・当期仕入高
= 当期売上原価 (当期P/L)
+ 期末(当期末)商品棚卸高 (当期B/S)
- 期首(前期末)商品棚卸高 (前期B/S)
・当期仕入支出
= 前期末仕入債務 (前期B/S)
+ 当期仕入高 (当期P/L)
- 当期末仕入債務 (当期B/S)
※製造業の場合は、「商品または原材料の仕入支出」となる。
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- 人件費支出
人件費をそのまま計上する
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- その他営業支出
その他営業支出
= 販売費および一般管理費
- P/L上の人件費
- 非資金支出費用
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◆投資活動によるキャッシュフロー
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- 固定資産の取得による支出
= 当期固定資産 (当期B/S)
- 前期固定資産 (前期B/S)
+ 当期減価償却費
※土地や投資では、減価償却費は加味しない
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- 固定資産の売却による収入
= 前期固定資産 (前期B/S)
- 当期固定資産 (当期B/S)
+ 固定資産売却益 (当期P/L)
※固定資産売却損の場合は、マイナスする
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- 投資活動によるキャッシュフロー合計
1と2を合計する
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◆財務活動によるキャッシュフロー
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- 短期借入金の増減
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- 長期借入金の増減
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- 配当金の計上
当期に支払った剰余金から配当金を計上する
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- 増資(資本金の増減)、社債発行
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- 財務活動によるキャッシュフロー合計
1から4までを合計する
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【キャッシュフロー計算書】
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T.営業活動によるキャッシュフロー |
税引前当期純利益
減価償却費
貸倒引当金の増加額
受取利息および受取配当金
支払利息
売上債権の増減額
棚卸資産の増減額
仕入債務の増減額
小計
利息および配当金の受取額
利息の支払額
法人税等の支払額
営業活動によるキャッシュフロー合計
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U.投資活動によるキャッシュフロー合計 |
有形固定資産の取得による支出
(有形固定資産の売却による収入)
投資有価証券の取得による支出
(投資有価証券の売却による収入)
投資活動によるキャッシュフロー合計
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V.財務活動によるキャッシュフロー |
短期借入金の増減額
長期借入金の増減額
配当金の支払額
財務活動によるキャッシュフロー合計
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W.現金・現金同等物の増減額
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X.現金・現金同等物の期首残高
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Y.現金・現金同等物の期末残高
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※直説法の場合
T.影響活動によるキャッシュフロー
営業収入
商品の仕入支出
人件費支出
その他営業支出
小計
〜以下は間接法と同じ〜
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◆試験中での検算 (ポイント)
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「営業CF + 投資CF + 財務CF の合計値」と
「貸借対照表の現金および預金の増減額」が
一致していること!!
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【キャッシュフロー分析】
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キャッシュフロー計算書が出題されるということは、事例企業のキャッシュの動き、つまり、現金や預金の資金状況を理解しているかを試されている。
そのため、事例企業のキャッシュが期首から期末へどのように変化しているのかをおさえておく必要がある。
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1.税引前当期純利益
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税引前当期純利益は、キャッシュフローの源泉であるため、値がプラスであることを確認する。
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2.売上高
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売上高の増減率と売上債権、棚卸資産、仕入債務の増減率が同じであるか確認する。
通常、売上高の増減率と売上債権、棚卸資産、仕入債務の増減率はほぼ同じになるためである。
売上高の増減率以上に増減している動きがあるならば、売上債権、棚卸資産、仕入債務の動きに異常がないか確認する必要がある。
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3.売上債権の増減額
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・売上債権の増加により、キャッシュが減少していないか確認する。
・売上高の増加率以上に売上債権が増加していないかを確認する。
売上高の増加率以上に売上債権が増加している場合は、売上債権回転期間を計算し、回収スピードが遅れていないかを確認する。
・売上債権が増加しているのに、キャッシュが減少していない場合は、借入金が増加していないか確認する。
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4.棚卸資産の増減額
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・棚卸資産の増加により、キャッシュが減少していないか確認する。
・売上高の増加率以上に棚卸資産が増加していないかを確認する。
売上高の増加率以上に棚卸資産が増加している場合は、棚卸資産回転期間を計算し、在庫保有期間が長くなっていないかを確認する。
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5.仕入債務の増減額
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・仕入債務の減少により、キャッシュが減少していないか確認する。
・売上高の増加以上に売上債権が増加している場合で、仕入債務の増加率が低いときは、キャッシュが減少することになるため確認する。
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6.小計
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純粋な営業活動でキャッシュを生み出しているか確認する。
値がマイナスなのであれば、上記1〜4の項目から原因を分析する。
・税引前当期純利益
・売上債権
・棚卸資産
・仕入債務
※売上債権、棚卸資産、仕入債務の増減額から運転資本の増減をチェックする!!
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7.営業活動によるキャッシュフロー
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利息の受払や税金支出を考慮して、営業活動によりキャッシュを生み出しているか確認する。
値がマイナスなのであれば、上記1〜4、支払利息負担から原因を分析する。
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8.投資活動によるキャッシュフロー
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・営業活動によるキャッシュフロー以上の投資活動を行っていないか確認する。
・不要な固定資産の取得を行っていないか確認する。
・営業CFと投資CFからフリーキャッシュフローが生まれているかを確認する。
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9.短期・長期借入金の借入収入
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キャッシュの減少を借入金で賄っていないかを確認する。
※借入金が増大すると、自己資本比率が低下し資本構造が悪化する。
さらに、支払利息の負担が重くなり、経常損失に陥る可能性がある。
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10.短期・長期借入金の返済支出
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キャッシュの大幅な減少を伴う、無理な返済を実施していないか確認する。
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11.現金・現金同等物の増減額
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企業活動を1年間行った結果、キャッシュの増減を確認する。
特に、減少した場合は、その原因をチェックする。
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12.キャッシュフロー・マージン
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キャッシュフロー・マージン
= 営業キャッシュフロー / 売上高
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